GORE-TEXの基礎知識をまとめてみた

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先日、山登りをはじめた知人に声をかけられましてね。

知人:以前買ったGORE-TEXの雨具が水をはじかなくなってもう防水きかないんですよー。
オレ:それ「防水」じゃなくて「撥水」ね。濡れてるように感じるけどたぶん水は入ってきてないから。それよりちゃんと洗ったりしてる?
知人:えぇ〜!GORE-TEXって洗っていいんですかー!?
オレ:ってか、逆に洗ってキレイにしておかないとダメっすよ… (-_- ;
知人:洗ったら防水すぐに落ちちゃいませんかー!?
オレ:昔の防水スプレーの話じゃないんだからさぁ〜。買ったときに店員さんに色々教えてもらわなかったぁ?
知人:… … えへへ。

まぁ、こういうパターンは過去に何度もあったような。そして同様なケースを経験したことがある方も多いのでは…。

ということで今回は定番の内容ですが、GORE-TEXの基本的な性能について「わたしなりに」ざっとまとめてみました。基本知識ということで、わかりずらい数値やマニアックな部分は省きます!細かいことまで知ってるみなさんは小さいことにツッコミを入れないように!

GORE-TEX(ゴアテックス)とは

W. L. Gore and Associates社が開発した防水透湿性素材、ならびにその商標名。

注:防水透湿の生地全般をGORE-TEXと呼ぶわけではありませんからね。間違えちゃやーよ。

ここで「防水透湿」という言葉ですが、言い換えると「水は通さないが水蒸気は通す」というもの。この性質をもった素材(薄くてペナペナした膜みたいなヤツ)をGORE-TEX Membrane/ゴアテックスメンブレン(以下メンブレン)といって、これがGORE-TEX生地の中心的な役割を担っています。すげーぜ、メンブレン!

このメンブレン、実は小さーーーい孔が無数に空いてるんですよ。細かい数値はほっときますよ。で、水蒸気はかなり小さく、この孔を縫うように通り抜けることができるんですが、水は無理!この孔より全然デカイんですよ。モノが違います!ってことで通れない。そんな原理。

文字だけだとわかりにくいですからね、こんな感じです。(音無しですが)

注:ちなみにみなさん「水」はわかると思いますが、「水蒸気」というのは気体で無色です。なので目に見える白い「湯気」なんかは水蒸気ではありません(たぶん)。よってこの状態のままではメンブレンを通過できないことになります(たぶん)。

ウェアの生地は1枚に見えるけど、実は3層構造

防水透湿性を備えたこのメンブレンですが、先に書いたように薄くてペナペナした膜なんですよ。頭いいけど草食系で打たれ弱いみたいな…。なのでこのまま使ったらすぐにズタボロ、オーマイガーになります。いっぱしの生地としてはまったく使えません。なのでこの表と裏に別途最適な素材を張り合わせて、はい、みなさんが目にしている立派な生地(GORE-TEX Fabrics)に仕上げているわけです。見た目は1枚ですが実際は3層(3レイヤー)なんですね。

ちなみに、表地をOuter Fabric、裏地をLiningといいますが、この記事では表地/裏地とします。友達の前でカッコつけたい場合は、「アウターファブリックがさぁ〜…」とか、「もうライニングが劣化しちゃってさぁ〜…」とか言ってみるといいんじゃね!?

注:2レイヤー2レイヤーや2.5レイヤーなどもありますが、現在出ているほとんど多くがこの3レイヤーと思って問題ないでしょうだと思います。

無駄に3層構造なわけじゃない!

そしてこのメンブレンを挟んだ表地と裏地もちゃんと役目があります。生地の用途を考慮しながら、メンブレンの機能を損なわないように作られています。

まず表地。

まぁなんといっても表面ですからね。雨風雪氷にたたかれるし、ザックのハーネスで擦れるし、おっきいお尻で石の上に座られたり、泥も飛んでくるし、もう散々な目にあう訳ですよ。こんな環境からメンブレンを物理的に守ってくれてます

そして特に大事な機能が撥水性。表地の上に落ちた水がプルルンッって水玉になり、スススーって表面を滑っていくあれです。


Credit:Muramasa

この撥水性がないと生地の表面に水が付着したままになり、一種の膜のようなものを形成してしまいます。せっかく内部からメンブレンを通過してきた水蒸気も、この余計な膜により最後の最後でシャットアウト!!ここまで来て外にでれねーのかよ!?って水蒸気くんもビックリなわけです。これで外部への出口が少なくなり、結果、透湿性が落ちてしまいます。水に限らず、泥などの汚れも同様ですね。

注:撥水性がなくなるともちろん生地は染みてきます。ですが染みるのは表地だけで、その先には優秀なメンブレンくんが君臨しているので、水の浸透はそこまで!メンブレンが損傷してることがなければ防水性が失われる事はなく、裏地まで浸透してくることはありません。最初に書いたわたしの知人のケースはこれですね。中まで濡れているような感じがするのは、透湿性が低くなったことによって生じる不快感や、湿度や発汗量によって生じる内部の蒸れなどが大きな原因の一つと考えられます。外から濡れなくても、中から濡れることもあるわけです。

防水と撥水は似たようなニュアンスですが、主な目的で比較すると

防水性:外→内の水の浸透を防ぐ
撥水性:内→外の透湿性を維持させる

という全く違う目的のための性能ともいえます。

そして裏地。

これもメンブレンの機能を保護/維持するするという点では表地と同じです。ただ、今度は敵が違いますね。内部に水は入ってきませんが、例えば人間は汗をかきますので、この汗が水分のまま付着することあります。(先ほど防水性は外→内の水の浸透を防ぐと書きましたが、逆に考えると、裏地に付着した水もそのまま外へ浸透していくことはないのです。)そして自分の皮脂や肌からでる分泌分、汚れなどが付着することが考えられます。

はい!ということで、

この3層構造によってスーパーな生地ができているわけですが、これらの特性を考えると、生地の表裏をクリーンに保つことがどれだけ重要なのかが理解できると思います。

なので洗濯は大事!普通に洗濯していればメンブレンが直接傷つく事はないし、それゆえ基本的に防水性能が落ちる事はありません。逆に洗うことで生地の表裏がクリーンになって、より透湿性能を維持できるのです!おー、洗濯バンザーイ!

撥水力の回復方法やもっと詳しいメンテに関しては、う〜ん、またの機会に^^。

防水耐久性と防風

ちなみに、最初に防水の話をしましたが、水が生地に接触するケースって様々なんですよね。ただ雨にあたるケースを想像しがちですけど、ウェアとザックのショルダーハーネスの間に水が入り込んだ場合、大きな水圧が生地にかかるわけです。濡れた場所に座った場合も自分の体重などが加わり、これも同様ですね。

ではどれくらいの防水耐久性があるのかというと、30mの水柱がどうのこうのって例えがでてくるんですが、そんなのリアルに想像できねーっす!って感じなので、ここでは無視します。えへへ。要は、アクティビティの中で想定できる耐水性能は余裕で持ってますぜ!そんなの気にしなくてOKよ!ってGORE-TEX様はおっしゃってるイメージでよいかと。ふぅ、頭が下がります。

そしてこの生地は高い防風性も備えてます。風って初心者には結構あまくみている人が多い気がしますが、風が1m強くなると体感温度が1度下がると言われています。(体感温度に関しては、シチュエーションや計算式によって色々差がでますが、一般的にいうと…、という話です)。防風性、これも大事な要因なわけです。

まとめ

さっ、まずは基本的な性能についてお話しましたがどうでしょう。この先の話になると、別の生地と比較するとあーだとか、メンテナンスはこーだとか、レイヤリングはどうだとか、関連して色々なお話が浮上してくるわけですが、その辺はまた別の機会にでも。まずは基本を理解しときましょうね。とはいっても、ちょっと内容足りないかな?

そして最後に、こちらの動画でも一通りGORE-TEXのテクノロジーを紹介してますので、これを見ればより知識が深まるのではと思います。百聞は一見ししかず(最初からこれ見せとけばいいじゃん!って声も聞こえてきそうですが…あはは)。モンベルさんがアップしている動画ですが、もとはGORE-TEXのオフィシャルの動画と同じですね。

GORE-TEX Fabricsのオフィシャルサイトでも、動画や画像を交えて色々と紹介してくれてますので、参考になると思います。メンテナンスもオフィシャルの説明を見るのがいいですね。方法に関しては間違いないと思っていいでしょう。さらに、アウターウェアとフットウェアのメンテナンスに関する小冊子を無料で配布していて、これも丁寧でよさげです。ヤマケイの付録とかアウトドアショップとかで見かけた記憶があるんですが、まぁサポートに電話をすれば送ってくれるので、気になる方はお手元に一冊ずつどうでしょうか。

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