『メインの森をめざしてーアパラチアン・トレイル3500キロを歩く』

ある一冊の本、特別な本が発売になりました。

『メインの森をめざしてーアパラチアン・トレイル3500キロを歩く』加藤 則芳 (著)

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以下、個人的主観が入ってきますが、わたしにとって加藤則芳さんといえば「ジョン・ミューア・トレイルを行く」で知ることとなった(もちろん愛読書の一つ)日本の草分け的バックパッカー。バックパッカーといっても世界各国をバックパック一つで旅する方ではなく、自然の中を歩くバックパッカーですからね。お会いした事はもちろん、…、ありません。へへ。

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加藤さんはアメリカ自然保護の父といわれるナチュラリスト「ジョン・ミューア」の 研究をされ、同じ自然観のもと、国立公園や環境保護ついての著書や、ロングトレイルの紀行文などを執筆されています。日本における国立公園の在り方にもメスをいれ、現在も国内のロングトレイルの普及と思想を根付かせるべく尽力されています。

最近では、2008年に全長80kmという国内屈指のロングトレイル「信越トレイル」が開通し話題を呼びましたが、この構想の中心的人物であったことは言うまでもありません。

 

わたし、個人的にこのロングトレイル文化とそこに存在している精神哲学のようなものが好きなんですよね。まぁもともと単に北米好きということもあるのですが、よって日本にもこの文化(正確には日本にある程度ローカライズされた文化というのが適切かもしれません)が深く根付いてほしいと思っています。

ここ数年は「山ガール」の影響もあり登山が盛り上がりを見せていますが、その入口の大部分を占めるのはやはり流行的な一面だと思うんですよね。きっかけとして悪いとはいいませんが、もっと文化的背景に影響を受けて…というケースも増えてほしいと思うんですよ。そうでないと何時までたっても一時の流行やレジャーの域を出ることがなく、文化として長期的に根付かせていくことって難しいんじゃないのかなって気がするんです。

そういう意味でも、加藤さんのこの著書には出来る限り多くの人に出会ってもらいたい。そしてそこで何かしら共感できる自然観を持ってもらえると嬉しいなぁなんて思います。自然環境にも深く関係した内容になっているようですし、アウトドアフィールドに身を寄せる多く人にとっても、よき参考書の一つになるのではないかと思います。

あ、それと最近思うんですけど、ロングトレイルの魅力って、今の若い「山ガール」さんたちの思考にかなりフィットするような気がするんですけど、どう思いますか?なんかそんな気がするんですよね。根拠はありませんが、なんとなく。

 

ちなみに「信越トレイル」のサイトでその理念やガイドラインを読むと、既存の登山やトレッキングの考えとはかなり違う部分があるということがわかると思うんです。ただ最近見たアウトドア系雑誌では、今まで「縦走」と呼んでいた(書いていた)ルートをそのままロングトレイルとして紹介していて、これに何かすごく違和感をもってしまいました。

日本語は漢字の他にカタカナ英語なんていうのもあって、どうしても混同しやすくなってしまいますし、「どのような行いを、何と呼ぶのか」ということに関しては線引きが難しいとは思います。けれど、呼び名にはそのモノ・コトを連想させる重要な役割もあると思うし、よってこの辺りをアウトドアメディアがどのように情報発信していくのか、とても重要な気がしますね。

日本は道ありきの登山道がほとんどですし、そういう意味では登山道はトレイルで、よってただ単に長い行程をロングトレイルと呼ぶのは間違っていないと思います。が、やはりこのエントリでいうところのロングトレイルとは一線を介すわけで、…、ん〜、この辺に関しては難しいところですね。実際に加藤さんの意見を聞いてみたいですが、実は今回の新刊に書いてあったりして…。

 

とまぁ、いつもと比べて文章多め&長めのエントリになってしまいましたが、これ以上はきりがないのでこの辺で。わたしもこれから新刊を読むので、また別の機会にでも感想を書こうと思います。今月中には「ロングトレイルという冒険ー「「歩く旅」こそぼくの人生」というエッセイ集も新しく出版されるようですし、こちらも楽しみです。

最後に、加藤さんがご自身でトレイルを踏破し紀行文を書くというのはこれが最後になるのではないでしょうか。それゆえ、最初に「特別な1冊」と記させてもらいました。

以下にいくつかリンクを張りますので、このエントリに少しでも興味を持っていただいた方は、ぜひ一度、これらのサイトを訪れてみてはいかがでしょう。

 

■加藤則芳さんのオフィシャルサイト
加藤則芳公式サイト 「バックパッカー 歳時記 -ロングトレイルは夢の橋-」

■加藤則芳さんの奥さんによる加藤則芳の活動報告ブログ
加藤則芳 ロングトレイルを行く – 管理者:家人

信越トレイルオフィシャルサイト

FMで放送された加藤さんのインタビュー音源。なんと1時間以上!mp3でダウンロードできます。読むのが苦手な方は^^、とりあえず聞いてみてはいかがでしょう!

さっ、本を買いにいこうっと。