なにげに知らなかった国立公園のキホン

国立公園。実は知ってるようで知らないことが多すぎて、最近少しずつ興味を持って調べごとをしています。あまり細かいことについて、あーだこーだと書ける博学も経験もないのですが、まぁたまには気になったことを記事にしていこうと思いまして…。

まず手始めに「国立公園はなんぞや」ということろを改めて再確認と思い、環境庁管轄のオフィシャルサイトなどを見ていたところ、初っ端から「えー!そうなの!?」という事実がいくつか出てきたので、いくつか挙げてみたいと思います。(知っている人は知っていると思いますが…)
 

25.6%は私有地

平成23年4月現在、国立公園は

– 全国29箇所
– 面積約209万ヘクタール
– 日本国土の約5.5%
– 国有地:61.9%, 公有地:12.5%, 私有地:25.6%
 
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環境省のサイトより転載

なんと国立公園の約1/4は私有地なんですね。日本の場合、険しい山々の麓にも古くから人々が住み、そこには生活や産業が深く根付いているので私有地はそこそこあるだろうというイメージでしたが、1/4は予想よりかなり多かったです。ちなみに伊勢志摩国立公園は9割以上が私有地とのこと。
 

国有林の所管は林野庁と環境省

国立公園に関しては、個人的には環境省のイメージが強かったのですが、実際に所管する国有林の割合はたったの0.3%。ほとんどが林野庁なんですね。

国立公園の管理をしているのは環境省だけど、その土地に対して権限を持ってるのは林野庁。ん〜、ちょっとわけがわかりません。

国立公園に対するこの2省庁のパワーバランスはまだ未調査でよくわかりませんが、何かにつけて縦割り行政のマイナス面が潜んでいる感じはしますよね。最近はもう聞きたくありませんが、利権の問題とかもね。この辺に関しては、いくつか読んでみたい書籍があるので、今はこれくらいに…。
 

保護の対象はあくまで「自然の風景地」

私の場合、国立公園というとアメリカの国立公園のイメージが強いせいか、どうしても「自然保護」が目的と(勝手に)思っていましたが、日本の場合は「自然の風景地の保護」だそうですよ。要は目に見える景色の保護ってことでいいのかしらぁ!?ん〜、これはまったくの「想定外」でしたよ。へぇ〜へぇ〜、といった感じ。

国立公園のサイトでも以下のように言っています。

自然公園法に定める保護の対象は「自然の風景地」であり、厳密に言えば「自然環境保全」や「生物多様性保全」とは概念が異なります。ただし、人が感じる風景には視覚だけでなく、五感で感じるものまでが含まれていて、自然を包括的に認識することにより自然環境の保全や生物多様性の保全にも大きく寄与しています。

風景地を保護するためには、結果として、確かに自然環境の保護ということにもつながるかもしれませんが、根本的に全くの別物ですよね。実際に「概念が異なる」って言ってるわけですし。この保護対象の定義はどうなんですかね。

でもこれを聞くと、アメリカの国立公園と比べた場合に感じる違いや違和感にも少し納得。概念が違うんだから、管理目的や方法もそりゃ違うよな、みたいな。どっちが良い悪いは別として。

それにしても法律制定当時は、きっと観光推進の意味合いも強かったんでしょう。今の世界自然遺産への登録ブーム!?と観光客誘致、こういった流れの中にある諸問題とダブるところもありますね。
 

地域制自然公園制度

下記、国立公園のサイトの文面にも出てくる「地域制自然公園制度」。

狭い国土に大勢の人が住み、昔から土地を多目的に管理・利用してきた日本では、アメリカやオーストラリアなどのように国立公園の土地すべてを公園専用とすることはできません。そのため、日本の国立公園は、土地所有に関わらず公園を指定できる地域制自然公園制度を採用していて、多くの私有地が含まれています。
国立公園内に住んでいる人も多く、農林業などの産業も行われていることから、国立公園の管理は、人々のくらしや産業などとの調整をしながら進められています。

こちらにも用語説明がありますが、ん〜、日本の場合は色々とクリアしなければならない問題が多いんだな、ということは伺えます。

ちなみに、国立公園のサイトには「国立・国定公園総点検事業について」というトピックスがあり、「国立・国定公園にふさわしい自然の風景地について、改めて評価」しようという動きはあるようです。これもじっくりと資料を読んでみたいです。
 
とまぁ、オフィシャルサイトの数ページをサクッと観覧しただけでも、色々と発見がありましたよ。普段から国立公園に足を踏み入れるケースが多い人は、やはりある程度の事は知っておきたいものですよね。

今後も定期的に国立公園ネタは扱っていこうと思います。

※参考文献
国立公園(環境省自然環境局)
国立公園(Wikipedia)
生物多様性センター(環境省自然環境局)
林野庁